ガスコンロの火

アンチ・オール電化

「モーツァルト!」初日を観劇して

ザルツブルクの宮廷楽師のレオポルト・モーツァルトの5歳の息子であるヴォルフガング・アマデウスモーツァルト音楽の才能は「奇跡の子」との賞賛を受けていた。だが父は語った——「大人になったら、ただの人になってしまうかもしれません」
時は流れ、ヴォルフガング(山崎育三郎/古川雄大)はザルツブルクで領主のコロレド大司教(山口祐一郎)の下で気ままに作曲活動をしている。父レオポルト(市村正親)はヴォルフガングの奇抜にもみえる自由な振る舞いに頭を痛めていた。そんなヴォルフガングのそばには「アマデ」———「奇跡の子」と呼ばれた時のままの「才能」がいつも寄り添っている。
血気盛んなヴォルフガングは、厳しく権威的なコロレド大司教の下での仕事と生活を倦み、成功を求めてザルツブルクを飛び出した。しかし、大きくなった「奇跡の子」は子供の頃のような名声を得ることはなかった。浪費を重ねた上に母を失い、失意の中ヴォルフガングは故郷に帰る。レオポルトは相変わらず勝手な振る舞いをする息子に手を焼くが、古くからのヴォルフガングの才能を支援してきたヴァルトシュテッテン男爵夫人(涼風真世/香寿たつき)は、父の庇護下を離れウィーンでの音楽活動を勧める。
ウィーンに移り住んだヴォルフガングは、かつて出会ったコンスタンツェ(平野綾/生田絵梨花/木下春香)との仲を深め、結婚する。
ウィーンにもコロレド大司教の手は伸びていた。コロレドは、自分を愚弄し、教会の権威を冒涜するヴォルフガングの成功をことごとく阻もうとする。ヴォルフガングは3度コロレドと争い、ついに決裂する。
ヴォルフガングは大きな成功を収めるが、妻コンスタンツェとはすれ違い、また父や姉ナンネール(和音美桜)との溝は深まる一方であった。そして、ついに和解することなく父は世を去る。
1789年、フランス革命が勃発する。革命の波はオーストリアにも広がり、ヴォルフガングはこれまで貴族のために奏でられていた音楽を市民のために作ることで改革の動きに参加する。完成したオペラ「魔笛」は大人気を博し、ヴォルフガングは名誉をほしいままにする。
———そしてある晩、謎めいた人物が彼の元を訪れて「レクイエム」の作曲を依頼する。



2018.5.27 17:45公演


◆感想
すごく良かったです。今回M!という作品を初めて観劇したのですが、楽曲のパワフルさと生々しい登場人物の感情に圧倒されてしまいました。強烈でした。全然まだ咀嚼しきれていないうちに、好きな俳優の帝劇初主演の公演が終わってしまいました…笑


◆作品について

  • セット

まずセットを見て驚いたのが、銀橋があること!しばらく宝塚にハマっていたので、ここは東京宝塚劇場か!?!?としばし混乱しました。ヅカをご覧にならない方のために説明すると、銀橋とはオーケストラピットの上にある上手下手の花道をつなぐまさに「橋」のような姿の舞台のことです。世界線が違うので見ることはないだろうと思っていた古川くんの銀鏡渡りを見られて謎の感慨がありました。
制作発表では「セットはシンプルに、ピアノ一台」と聞いていたので帝劇の舞台にグランドピアノがポツン……とあるような様を想像していたのですが、全然違いました。巨大なピアノ状のオブジェがあり、盆が回ると階段であったり平地であったりと変化する感じでした。あんまりよくわかってないです。とりあえず盆は回ってました。

  • 衣装

古い衣装をあまりよく知らないのですが、何枚か追加されているようです。ヴォルフガングが黒い革のロングコートを着るのですが、ワッペンがいっぱい付いていてなんとなくモスキーノのコートみたいだなって思いました。文字が書かれていたのですがドイツ語がわからない!
ウィッグは相変わらずドレッドです。ヴォルフガングの姿が現代風なのは、彼の精神の時代との乖離や革新性を表しているのですが、それでドレッドか…とは思います。小池先生演出の韓国のモーツァルト!では、普通の巻き毛なのであっちの方が好きかもしれない……。

  • 楽曲のこと

曲は本当に好きです!DVDで見て以来、香寿たつきさんの「星から降る金」を聞きたいとずっと楽しみにしていたのでそれが実現して嬉しいです。香寿さんの厳しくも愛情と温かみのある歌声が大好きです。
破滅の似合う役者として名高い(?)古川さんだけあって、ヴォルフガングがどんどん堕ちていく最中の曲は特にうまいなあと思いました。「なぜ愛せないの」「残酷な人生」「影から逃れて」とか。面目躍如です。
いつもノーブルでスカした役が多い古川さんですが、コロレドと喧嘩する「何故だ、モーツァルト!」や「並の男じゃない」での荒れっぷりもちゃんとガラが悪かったです。お上品な役柄ばかり見て来たから忘れていたのですが、昔のイキリ川さんの片鱗を見た気がしました。

それから、今回の新演出で追加された「破滅への道」での山口祐一郎さんとのデュエットのことです。2012年、古川くんの初めて大きなミュージカルである「エリザベート」でルドルフ役を演じたときの稽古で、山口さんとのデュエットの「闇が広がる」を練習した時に泣いてしまうくらい悔しい思いをした古川さん。*1
それから5年経った今では、ヴォルフガングとコロレド大司教として、対等に戦っている!ということが嬉しく感じられました。

初日ではかなり緊張が伺える感じの歌だったのですが、多分これからこなれていくのでしょうか。楽しみです。
新キャストの中で歌が楽しみだった和音美桜さんの歌もやっぱり素晴らしかったです!でも曲が減っていて残念でした……。

  • 脚本のこと

あんまりまだ咀嚼しきれていないです。時代のうねりの中で、父権と宗教のくびきからの解放という出来事をヴォルフガングの人生を通して描いた作品なのかなって感触を得たのですが、それだと「才能が宿るのは魂か、肉体か?」というテーマに答えていない気もしますし。ただ、作品を通じて権力者というものに対してものすごく冷ややかだとは思いました。多分ドイツ語から翻訳しきれていない部分とかニュアンスが多分に含まれてそうな気がします……コロレド大司教という宗教的指導者が世俗を統治するという感覚はあまり実感がないので。もう少しまじめに調べたり考えたりしたいです。


◆古川ヴォルフガングのこと
古川さんは以前「ヴォルフガングという役を演じるには、今までの引き出しにないものを見せなければならない」と語っていたのですが、たしかにこれまでの古川では見られなかったような意外なアプローチでのヴォルフガング像で面白かったです。映像でしか知らないのですが井上ヴォルフは悪態を吐く時もどこかお坊ちゃんの反抗といった印象でしたが、古川ヴォルフは田舎のヤンキーでした。クソガキ。
「クソ喰らえ!」の巻き舌っぷりが本当にヤンキーっぽいというか…ガラが悪くて最高!!!!大好き!!!!

だからこそコンスタンツェとの恋愛もある意味割れ鍋に綴じ蓋(あんまりな表現すぎる)といった感じで面白いです。
ヴォルフガングという人物は、普通の人間には大きすぎる才能を背負って生まれてきた人なので、音楽家としてのヴォルフの姿と、等身大の人間としてのヴォルフガング像に乖離があるのは理解しやすいです。
前述したように苦悩して混乱するヴォルフガングの演技は本当に最高でした。明るい役の古川さんも好きですが、やっぱりズタボロになるときの古川さんは謎の滋味があります。
歌に関しては(かなり贔屓目だけれども) よかったです。私は好きなのですが声質で損をして、あまり目立たない歌声に聞こえる時もままあったのですが今回は「影から逃れて」でも分厚いコーラスの中響く声がとても綺麗でした。元々ロングトーンが美しいので、歌い上げ系の曲が特に良かったです。
演技に関してはかなり初日と楽での印象が変わる役者ですし、歌もこれからどんどん進歩すると思うと楽しみいっぱいです。


◆思ったこと
「僕こそ音楽」を歌い上げた時の万雷の拍手、カーテンコールでの鳴り止まない拍手が全てを語っていたと思います。

古川雄大さんが初めて帝劇0番に立つ日、そして古川ヴォルフガングの誕生を見届けられてとても嬉しいです。本当に本当に嬉しいです。

ミュージカル「モーツァルト!」製作発表記者会見

www.tohostage.com

 

15日には古川雄大くん主演の「モーツァルト!」製作発表記者会見に行ってきました。

 

都内のホテルの宴会場に入ると、たくさんのメディアの方とステージ、そしてグランドピアノが。「影から逃れて」がループする中待っていると、ライトが落ちて古川さんが壇上に。ピアノの伴奏とともに古川さんの歌う「僕こそ音楽」がはじまりました。歌唱披露からはじまるとは思わなくって不意打ちで驚きました…

△心なしか笑顔がぎこちない古川雄大

 

古川さんの歌う「僕こそ音楽」は去年の3月のライブでも聞いたのですが、その時よりもずっと音程は勿論、ファルセットがとても綺麗で最高でした…!当時、やたら嬉しそうに歌っていたので何か良いことがあったのかなあ、なんて思いながら聞いていたのを思い出しました。あれから約一年、まさかこんなに早く古川さんが帝劇の0番に立ち、ヴォルフガングを演じる姿が見られるとは露ほども思いませんでした……歌いきった後のニヤッとした笑顔がカワイイ!!!!!

次は生田絵梨花さんと木下春香さんの「ダンスはやめられない」この2人は去年のジュリエットで見ていたのですが、ふたりともその時よりも歌が更に上手くなっていました。特に木下さん、まだお稽古も始まっていないのに表情がコンスタンツェになっている…!

そして、続投組の山崎育三郎さんと平野綾さんの「愛していれば分かりあえる」お二人は安定感がありました。息ピッタリ。

 

演出の小池修一郎先生は、花組の「ポーの一族」の稽古のため欠席、代わりにビデオメッセージが上映されました。みんなで特大スクリーンでイケコのご尊顔を拝するという貴重な経験ができました…!

今回のモーツァルト!では、これまでの上演とは演出を変えてテンポアップし、かつ新曲を加える予定。新演出とまではいかなくても、新しいものが見られそうだと思います。古川さんに関しては「オーディションでは(作曲の)シルヴェスター・リーヴァイ氏の前で、自分が今まで知っていた古川はどこへ行ったんだ、と思うような歌を見せてくれた」とのことでした。ファンとしてすごく嬉しい言葉でした。

 

 山崎さんのお話で面白かったのが「再演のカンパニーに自分だけ初めての状態で入っていったので稽古場では非常に苦労した。小池先生には『 市村さん主演のミュージカルしか見えない!』と言われ凹んだ。けれど、山口祐一郎さんがそのたびに『育くんかっこいいよ〜』と言ってくれた」ということ。この小池先生や山口祐一郎さんのモノマネがめっちゃにてました。ちなみに、古川さんも同じように小池先生のマネをしてたんですが、全然似て無くてただのおじいちゃんみたいでした。 

 

 

だいたいレポはツイッターに垂れ流してしまったので、あんまり書くべきことは無かった…

モーツァルトは情報解禁が来てからウッキウキで、ずっとずっと楽しみにしていたのでこうして製作発表の場で、古川ヴォルフが世に出る瞬間に立ち会えたのは本当に本当に幸運なことでした。嬉しかったです。古川さんのこと好きでよかったなあ、としみじみと思いました。

 

スカステで見たもの感想(随時更新)

スカステだったり見た映像についての感想です。

 

 

続きを読む

ロベスピエールのオタクが「ひかりふる路」の先の希望を観てしまった話

 

kageki.hankyu.co.jp

ずいぶん開幕から時間が経ってしまいましたが「ひかりふる路」を観劇しました。私は「1789」という作品を観劇して以来マクシミリアン・ロベスピエールという人物に関しては気が狂ってしまったので、当然この「ひかりふる路」もめちゃめちゃ楽しみにしていました。期待値が高い反面、生田先生と解釈違いを起こしてしまったらどうしよう…という不安もありました。

しかしそのような懸念を軽々と超えた最高の作品でした。観劇したの結構前だけどついに気合を入れて書きます。感傷溢れすぎてキモいのを。

 

f:id:koutenshi:20180210214417j:image

 

続きを読む

「髑髏城の7人 Season月 下弦の月」

髑髏城、というか劇団☆新感線は前からちょっと気になっていていつか見られたらいいな〜くらいに思っていたのですが、2.5次元のオタクをころっと転がせるような「下弦の月」のキャスティングにより初めての新感線の観劇となりました。エンタメ度モリモリで面白かったです。

◆あらすじ
織田信長亡き後、かつて信長の部下であった男が「天魔王」として「関東髑髏党」を率いて秀吉の天下統一によりつかのまの平和が訪れた世の中に戦乱を起こそうとしていた。素浪人の捨之介は、一族を天魔王に殺された霧丸や遊郭経営者の蘭兵衛らとともに天魔王に立ち向かうのであった。

◆キャストについて
・捨之介(宮野真守)
すごく宮野真守だった!宮野さんは声も表情も動きも主張が激しくて、誰にも忘れられない印象を残す方だと思っていたのですが、今回はその宮野さんらしさと、捨之介の鮮やかな生き様とが重なりあうようでした。過剰なまでの生気も存在感が(わたしが宮野さんの話をするとついトゥーマッチという語彙を使い過ぎてしまう)どんどんすり減ってズタボロになっていく終盤との対比が凄かったです。歌舞いたポーズを取った時にちらりと覗くワイン色の襦袢がめっちゃ印象的。

・天魔王(鈴木拡樹)
わたしは鈴木拡樹さんのドスが効いた声がすごく好きなので天魔王の第一声聞いてヨシッ!ってなった。声優の宮野さんは当然ですが、下弦のキャストは皆声がよく通る上、声色の違いで誰が喋っているかわかりやすくて見やすかった。で、鈴木さんの話に戻るんですが、ものすごく華奢なのに「魔王」として殺戮の限りを尽くすさま、むしろ華奢だからこそその異様さが際立ったのでは?と思いました。無界屋で人を殺すたびに愉悦の表情が浮かぶのが恐ろしかったです。連番した相手が、鈴木さんについて「VS嵐で見た時とイメージが全然違って、鈴木さんだと最初気づかなかった!」と言っていてさもありなんだと思います。カテコではける時にマントをばさあっ!とするのも大変に良き。

・蘭兵衛/廣瀬智紀
蘭兵衛はオタクが好きそうな要素(美丈夫闇落ち裏の顔持ち女衒*1…)をコテコテに煮詰めたようなキャラだと思うのですが、そこに廣瀬智紀さんが充てられることで最強になってしまった。わたしは年1くらいで廣瀬さんの出演する舞台を見ては「廣瀬智紀さんの顔良すぎない?」と発狂するのですが、どうやら今年もちゃんともの旬が来たようです。とにかく顔が良い。それから動作にいちいち華と色気があってドキドキします。髑髏城に乗り込んでいくシーンで横笛を吹きつつ歩くという動作があったのですが、あまりにもそれが美しすぎて牛若丸だー!と思いました。あと闇落ちするシーンのアレ、トートとルドルフのアレ*2みたいじゃないですか。わたしはトートルドルフで気が狂いそうになったのですが、きっと髑髏城を見て同じような感慨を抱いた人もいると思います。とにかく廣瀬さんの蘭兵衛はノー思考で脳みそに浸透する「美」なのでみんな見て、髑髏城を。

◆劇場について
「客席が回る劇場」のステアラですが、正直お芝居を見るという点ではかなり出来が悪いと思います。普通の劇場では後方席に向かってゆったり傾斜がつくことで、ある程度の視界を確保しているのですがステアラは舞台の高さが低すぎるので、自分より前に座っている人間の頭の塊が舞台にめっちゃ被るんです。また、列自体は30列までしかないのにとにかく舞台までの距離が遠すぎる!ぐるぐるするのは良いけど本当に見にくいし、没入感を妨げるのでそれは残念でした。前方座ればいいのかな?それでも、一律13000円という価格を取っている以上もう少しまともな設計にして欲しかったです。本当にクソオブクソ。よくアイアがクソ劇場としての槍玉に挙げられますが、アレは視界は良好なので許容範囲です。ステアラはプレハブだし見えないし僻地だし空調おかしいしでどうかしてる。ただ、客席回るのはやっぱり面白いです。
カーテンコールで一周ぐるっと回っている様子を見せてくれるのですが、どのセットとどのセットが隣り合っているのかが種明かしするようで楽しかったです。セットは本当に凝っていました。お芝居の背景は捨象することでないものをあるように認識させますが、ステアラではセットの移動がないぶんものすごく凝ったセットが作れるんですね。まるで映像作品のような工夫の凝らされた舞台美術は本当に見ていて飽きないです。ちなみに、わたしはこの下弦を二日酔いでボロボロのグロッキーの状態で見に行ったのですが、回転が入るたびに脳みそがフラフラしてかなりきつかったです。

◆まとめ
正直あまり脚本を咀嚼しきれていないのと、なんせコンディションが最悪な状態で観劇したので(2017年最悪だった)みなさんが「一瞬だった!」という公演時間は結構長く思えました。面白いのですが、普通は「序破急」の構成だとすると髑髏城は「序破破破破破破急急急急急急急急」くらいのノリなので、だいぶ疲れます。そもそも一幕1時間半、二幕2時間という上演時間はだいぶエクストリームです。今回消化しきれなかった部分と、それからオペラを忘れてしまい見きれなかった部分があるのでもう一度行きたいのですが、ステアラはウンザリ…という気持ちが拮抗しています。多分でももう一度見にいく気がします。*3

ちょくちょくチケット戻りあるようですし、ど直球のエンタメで楽しいですし、何よりお馴染みの役者さんが出演してらっしゃるので、機会があれば是非。あ、もし行くなら何かとマチソワとかにしないことをお勧めします。

*1:本当はこの表現適切じゃない気がするけどね

*2:ミュージカル エリザベート

*3:今回ステアラの悪口の部分が1番長くなっちゃった

AiiAシアターぶっ壊そうぜ!/「超歌劇 幕末Rock 熱狂!絶頂!雷舞」

幕末Rockはコンテンツとしての最期を迎えようとしている。

幕末Rockは、マーベラスによるゲームを原作に、アニメや舞台化がされたメディアミックスプロジェクトだ。アニメが終了し、ゲームの展開も終わったと思しき今、更新されていたのは舞台版のみであった。その舞台も、この「熱狂!絶頂!雷舞」が最後であると示唆されている。そんな「最後」を悲しむファンに、音響担当はこんなことを言っている。

幕末Rockは頭のトチ狂った作品だ。

時はのちに幕末と呼ばれた時代、 天歌泰平(ソングオブピースフル)。
徳川幕府の 「天歌」(ヘブンズソング)により、民の心が奪われた泰平の世。
幕府は 「天歌」以外を歌う者を捕らえ、
愛獲(アイドル)の力、天歌による泰平化により、支配を完璧な物としようとしていた。*1

「幕府の強権な支配に疑問を抱いた坂本龍馬高杉晋作桂小五郎沖田総司土方歳三の5人がロックの力で自由を取り戻す」というのがあらすじだ(トンチキ〜)
そんなトンチキな作品で、真面目な大人が全力でバカをやるから私は幕末Rockが好きだ。

主人公の龍馬を演じる良知真次はもともと2.5でないミュージカルを舞台に活躍していた俳優で、歌唱力がすごい。沖田、土方の佐々木喜英と輝馬は2.5次元ミュージカルのおなじみである。桂の三津谷亮は、キャラクターにいつも全力で向き合っているし(あとファンサがめっちゃいい!) 高杉の糸川耀次郎はフレッシュだ。

今回のライブは悪名高きAiiAシアターで行われるのだが、音響担当が要塞のようなスピーカーを組み、アイアとは思えない音響である。そんなわけで、AiiA壊そうぜ!という言葉が出るのである。チャチいプレハブだから本当にワンチャンあるかもなんて思ってしまう。

話はそれたが、幕末Rockは本当にトンチキな作品である*2。曲が盛り上がるとキャラクターはすごい勢いで服を脱ぐし、ペリーはなぜか絶対領域チラ見せするし、死んだ人間はあっさり生き返るし、そもそもどうして幕末でRockしているのかわからない。そんな狂った作品だが、実力のあるキャストが集まって全力で狂っているので、めちゃめちゃ楽しい。だからこそ今日まで続いて来たのだと思う。

正直、幕末Rockの何がどう良いのかを言葉で伝えるのは難しい。
ノリのいい楽曲やハイテンションなパフォーマンスも、舞台を見に来たのかわからなくなるような爆音の渦も、実際に見てくれ!というしかない。


ということで、

ということで、是非興味を持った方は12/3までAiiAシアターで上演中の「超歌劇 幕末Rock 熱狂!絶頂!雷舞」を見にいらしてください。何の予習もいらないので、とりあえずキンブレだけ持ってくれば多分楽しめるし憂鬱も吹き飛ぶので*3……!!

アーカイブ配信もあるので、そちらも是非。


正直幕末Rockとかいう舞台、何がなんだかよくわからないまま見ているので、ダイマしようにも何をどう勧めればいいのかわからないです。なので、とりあえず幕末Rockを見てください。

最後って言われてるけどメチャメチャ盛り上がったら延命されるかもしれないとか思っています。なんとか生きながらえて欲しい、幕末Rockに。

*1:http://bakumatsu.marv.jp/stage-1/story.html

*2:褒めているはずなのになぜかdisみたいになってしまうのはなぜ

*3:薬事法違反

若手俳優のオタクが宝塚に足を突っ込んだ結果抜けられなくなった話

3月の始まりに、古川雄大くんのミュージカル「ロミオアンドジュリエット」が閉幕して以降、次の舞台までには半年のブランクがあった。それまで大車輪で舞台に出続けていた彼のオタクの私は「ヒマ」という現実に直面したのでした。
失礼きわまりないことに、暇潰しのつもりに宝塚に手を出したのですが、結果として本気でハマってしまい抜け出せなくなってしまいました。


さて、古川くんの出た「エリザベート」「ロミオアンドジュリエット」「1789」といった作品は元々は海外産のミュージカルを宝塚歌劇団付きの演出家小池修一郎が宝塚で上演し、それを外部、つまり東宝で上演したという経緯がある

また、小池修一郎氏は、宝塚の演出家でありつつ東宝ミュージカルの演出もする、という忙しい人物で、古川雄大という俳優を殆ど未経験のなかから大きなミュージカルに引っ張り込んだ演出家である。つまり、古川くんと宝塚にはそれとなく縁があると言えます。本人もそれっぽい顔立ちだし。
せっかく暇なんだから、今まで見たことのないモノに興味を持ってみようと思いました。

まず最初に「タカラヅカスカイステージ」の契約をしました。これはほぼ1日中宝塚の舞台やディナーショーやらタカラヅカニュースやら、番組をひたすら流している狂った編成のチャンネルです。普通のCMが流れたかと思ったらやっぱり宝塚のスターさんが出演しているという……
個人的には最初にスカステに入るというのは大正解でした。ちょっと高いなあ、なんて思ってたんですが、今の宝塚のこともちょっと前の宝塚のこともなんとなく知ることができるので初心者にこそ良いかなと。円盤一本買うよりも安いですし。

スカステで好きなのは稽古場風景!カメラに向かってスターさんがファンサ?飛ばして来るのが好きなんです!!

パラパラと適当に見た中で、やっぱり印象的だったのは月組の「1789」です。
1789は古川くんが特大の当たり役のロベスピエールを演じたある意味馴染み深い作品で「人数が多いとこんなふうになるのか〜」とか思いながら見ていたと思います。

ところが、フィナーレの男役群舞*1を見て、顔が良い人たちがピシッとした揃いの衣装を着て規律正しく踊る禁欲的な美しさにこれまでに受けたことのない衝撃を受けました。これが……恋!?!?

初めて生で見たのは「SCARLET PIMPERNEL」(星組)でした。初めて見たミュージカルがイケコ先生演出の「エリザベート」だったので初めての宝塚もイケコ演出の作品でなければ…という謎のコダワリがあったからです。初ヅカなので当然宝塚劇場に行くのもその時が初めてだったのですが、ものすごくきらびやかでびっくりしました〜。ロビーのグランドピアノが公演の曲を演奏しているのとか、真っ赤な絨毯とか大きな階段とか…宝塚に来たぞ〜!という気分になりますね。私は舞台でロベスピエールを演じる人間を好きになってしまうという呪いにかかっているのですが、やっぱり七海ひろきさんのロベスピエールがめちゃめちゃかっこいいと思いました。ちょっと涼しげな目元がステキだと思います。ご本人のオタク釣り能力が高すぎるところも好きです。

スカピン以降、幕末太陽傳(つい天狼伝って書きそうになる)以外の大劇場の演目は見てきたのですが、毎回この人かっこいい!好き!!というジェンヌさんを見つけてしまいます。「ご贔屓」として応援する方はまだいないのですが、めっちゃ好き〜〜〜〜ってなる誰かを見つけたいような見つけたくないような………

最近は家族と観に行くことが多いです。この間は「真風涼帆さんに視線をもらったのは絶対に自分だ」というしょうもない主張を双方譲らずにケンカになりました。

ムラ(兵庫県宝塚市宝塚大劇場らへんのこと)にも遠征に行きました。
これは次回公演の「ひかりふる路」というロベスピエールを主人公とした作品のポスターなんですが、これが街中のあちこちに貼ってあるんです。

ロベスピエール、端的に言えば独裁者な訳で、そんな独裁者のポスターがベタベタ貼ってあるのはめちゃめちゃディストピアめいていて面白いです。"Big brother is always watching you"みたいな。*2


だいたいヅカに興味を持ってから半年程度なんですが、あっという間に過ぎてしまいました。(古川くんのヴァカンスも終わった)
毎月演目が入れ替わることもあり、色々な作品を楽しむことができました。そして、数々の顔がいい人々に沸くこともできました。マジでみんな顔が良いし足が長いのでパラダイスでした。

長々書いてきましたが、要約すると
めっちゃ楽しい!!!ということです。おしまい。

*1:男役がめっちゃかっこいい衣装(燕尾服が多い)を着てみんなで踊る

*2:1984