ガスコンロの火

アンチ・オール電化

7・8月観劇録

お久しぶりです。気がついたら10月ですね(遅いよ)
この夏は古川ロベスピエールへの愛を拗らせてパリに行ったため充実しておりました。(計画を立てた時点では古川くんがロベスピエールやると思ってた やめようこの話は) ロベピエオタクツアーについてはいずれエントリを書きたいと思います。めっちゃ充実した夏だった!

レ・ミゼラブル

レミゼのチケットとりあえず取ったんだけれど上原理生くんのアンジョルラスも見たかったんだよね、と知り合いに話したら「今年で多分最後だから見たほうがいいよ!」と譲って頂けました。おかげで吉原バルジャベの両方も見ることが出来ました。個人的には吉原バルジャン岸ジャベが好きな感じでした。岸ジャベールからほんのり漂う官僚っぽさとノーブルさが好きなのかもしれません。肝心の上原アンジョですが、出て来た瞬間「めっちゃりおくんじゃん!」と思いました。役者が前に出て来ているという意味ではなく、上原くんそのものがアンジョで、アンジョが上原くんである…みたいな。役者と役の強い共鳴が、アンジョルラスとおう人物の持つカリスマ性に説得力を与えているようでとてもよかったです。歌声や演説の力強さと、死して荷車に乗せられた姿のキツい対比も、「強そう」な上原さんだとより胸に迫るものがありました。とても良かったです。

レミゼという作品は好きですが、1幕の苦しさと観劇し終わったあとの重さとでもう2度と行きたくない!という気持ちになります。もう勘弁と言うと貶しているようですが、そうではないんです。作品の登場人物にいちいち同情したり感動したりと大変忙しく疲れてしまうのです。これはある意味、「もう見たくない」が褒め言葉になる稀有な作品ではないかな…と思います。

ちなみに、私の好きなシーンは司教が燭台をバルジャンに与えるシーンと、天に召されたバルジャンをねぎらうように司教が肩を叩くシーンです。聖書に「憐れみ深い人は幸い/その人は憐れみを受けるだろう」という言葉があるのですが、私はその意味するところをレミゼを見て初めて本当にわかった気がします。バルジャンは司教の憐れみ——憐憫ではなく——を受け改心し、人生の全てを他者への「憐れみ」の実行に捧げます。そんなバルジャンの生を司教が祝福しに表れるの、まさに魂の救済だな〜と思いました。いちいち表現が宗教宗教していてちょっと引きますね。
*1

とまあ、レミゼのことは好きなのですが、マジでもう2度と見たくないです。でも、再演ではまた行くしその時も「もうレミゼは見ねえ〜〜!!」と言いつつ涙を拭いてそうな気がします。

・Beautiful
帝国劇場 ミュージカル『ビューティフル』
シンガーソングライターのキャロル・キングの半生のミュージカルなんですが、無学ゆえにキャロルキングって誰じゃいと思いながら見に行きました。親子関係ものだと思いました。
キャロルの母は作曲家を志すキャロルに対し、教師になり安定した生活をするようにと説いたのに、キャロルが成功した時に「娘に音楽をやるようにと言ったのは私なのよ!」と胸を張ります。コメディタッチで描かれたシーンだったのですが、めっちゃ怖かったです。あと、キャロルは浮気して出て行った父親を嫌っているのに、浮気する男と結婚してしまうところとか…
怖かったです。

グランギニョル
ピースピット2017年本公演≪TRUMPシリーズ最新作≫『グランギニョル -Grand Guignol-』 作・演出:末満健一
三浦涼介くんがゴシックでお耽美な演目に出る!と聞いて見に行きました。これはね〜TRUMPをちゃんと履修してから見るべきだったと大変後悔しています。一応世界観とか用語については頭に入れて行ったのですが、ちょっと消化しきれなかったかもしれない。ラストの方のダリがウルにイニシアチブを掛けるシーンで「まあなんて未来に希望を持たせる展開なんでしょう〜」って思ったんですが、周りの人の大号泣が明らかに〜明るい未来🔆🔆🔆〜を彷彿とさせるものではなかったのが気がかりです。
ちゃんとシリーズを見ようと思いました。

邪馬台国の風/Sante‼︎(花組)
柚香光さんのお顔がびっくりするくらい良くてびっくりした。ヤバくない?ヤバかったです。
今回客席降りがあって、運良く柚香さんとサンテ!(ジェンヌさんと公演グッズのグラスで乾杯する)できたんですが、あまりにも美しい人が現実に存在するという事実に発狂しそうになりました。SAN値チェック!客降りは最高。
これまで宝塚のショー作品を生で見たことなくって、どんな風に楽しむんだろう…って思って行ったら顔がいい人々のエレクトリカルパレードみたいな感じであっという間でした。主題歌がすごく好きです。古川くんの舞台がしばらくないからヅカでも手を出すか〜と気軽に興味を持ったら想像以上に楽しい世界で抜け出せなくなりました。とりあえず全組観劇するようにしたのですが、いわゆる「大劇場」以外にも色々な劇場で公演をしているので、見られる演目が沢山あって退屈しないです。サイコーです。
ちなみに「邪馬台国」ではクガタチという単語を学べて勉強になりました。みんなクガタチってしってる?日本史好きじゃないから知らなかったよ…【ネタバレ感想】花組の邪馬台国の風がアッパー系シャブだった話 - 強く生きるこの記事を読んで、作品のあまりにも熱いトンチキズムにワクワクしていたのですが、上演の最中でかなりの手直しがされたようでトンチキズムはちょっと鳴りを潜めていて少し残念でした。(充分トンチキだったけれど) やっぱりムラまで見に行かなきゃダメなんだ……東京に来るまで座して待っていては遅いんだ………と拳を握りました。

実は古川雄大くんの舞台はもう始まってるし(「レディ・ベス」帝国劇場で絶賛上演中!)、なんなら新しいお仕事(「マリー・アントワネット」来年9月からフェルゼン役として出演!)も発表されたしそもそももう10月も半ばなんですけど、なんでこんな記事を今更書いているのかというとサボっていたからです。ソシャゲにがっちゃんがっちゃん課金してました。反省しています。意外に読んでくださる方がいると知ったので、頑張って書いていこうと思います。

*1:ロミジュリの時もそうだけどいちいちキリスト教の話になってしまうのはなぜ?って思うけどレミゼめっちゃキリスト教色強いから仕方ない

2017上半期まとめ

お題「2017年上半期」
ちょっと前に梅雨入りしたと思ったらもう7月か、月日が流れるのが最近早くて恐ろしいです。年始にロミジュリに汲々として以来の記憶が全くなくて怖いですね。

みたもの

1.フランケンシュタイン
ビクターは中川さん、アンリは加藤さんと小西さんで見ました。各地に張り出されたポスターが大変アンリとビクターの間の関係性を前面に出していたので、「そういう感じ」かなと思って見に行ったら意外にそうでもなくて拍子抜けでした。アンリ、ビクター、ジャック、怪物それぞれをキャラ立てして描写した結果、散漫になってしまったような印象を受けました。ですが、アンリと怪物/ビクターとジャックの1人2役がある意味この作品のウリなので、仕方ないかもしれません。 作品としては年明け早々、超ヘビーでした。

2.ロミオ&ジュリエット
楽しかった〜〜!!!今年1番楽しかった作品だったかもしれません。上半期の思い出はほとんどロミジュリに詰まっています。作品も楽曲も大好きで、共演者の方もみんな素敵で最高の舞台でした。

3.アルターボーイズ
ゴールドと合同を見に行きました。ひたすら出ずっぱりで踊り通しで、若さってすごいな…と思いました。キラッキラの汗が眩しかったです。

4.ミュージカル「手紙」
5.ミュージカル「アルジャーノンに花束を
6.ミュージカル「王家の紋章
初演も観に行ったのですが、初演よりもスリムになっていて良かったです。ルカの出番が減ってしまったのが少し残念。

7.グレート・ギャツビー
美術と衣装が素敵でした。最初のジェイがプールに落ちるシーンのあの円盤の幕……(?)が印象的でした。

8.「スカーレット・ピンパーネル」(宝塚・星組)
人生初の宝塚でした。すごく楽しかったです。
作品自体は知っていたし、映像でも観たことはあったんですが生で見ると顔がいい人たちの奔流!をより実感できました。

9.レ・ミゼラブル
楽曲は何度も聞いたことがあったんですが、お芝居を見るのは初めてでした。最初の20分くらい本当に陰鬱で、登場人物の誇りがバキバキに折らればかりなのを見ながら「なんでこんなミュージカルが人気なんねん…」と思ってましたがその後ひたすら感動したおしでした。「今年は格別」と知人のレミゼオタクが言っていたのですが(ボジョレーヌーヴォーか?) 確かにとても良かったです。

あとはコンサートとかライブにちょくちょく行ってましたけどこんな感じかな…?何か忘れている気がする……

下半期にはレディ・ベスと黒執事があるので、それが楽しみですね。ミュージカル黒執事、12/31が初日なのでギリ2017年ですね…
あとは「スカピン」をきっかけに宝塚にハマっていて、特定のご贔屓がいるわけではないんですが色んな組の公演を観に行こうと思っているので、割とそっちも忙しそうです。全然知らなかったんですが、宝塚って大劇場以外にも全国ツアーとか別箱とか色々やってるんですね!?

ぼちぼちと好きなものを追っかけていきたいです。

「スカーレット・ピンパーネル」(2016梅芸/2017宝塚星組)

2016年初演、2017年11月再演の梅田芸術劇場製作の「スカピン」、それから宝塚でなんども上演されている「スカピン」は同じブロードウェイミュージカルを下敷きにしながら、さながら二卵性双生児のような少し異なる容貌をしています。
梅芸版は再演が発表されたし、宝塚スカピンを先日観劇したので、下書きのまま放置していた感想を書き直し、また両者の違いについて考えてみました。


"1789年「自由、平等、博愛」の理想の元に蜂起した市民たちによりフランス革命が勃発してから数年。革命家ロベスピエールを指導者として頂くフランスでは粛清と恐怖の嵐が吹き荒れ、かつての貴族たちが次々にギロチンにかけられ処刑されていた。
それを憂いた英国貴族のパーシー・ブレイクニーは、「スカーレット・ピンパーネル」と名乗り、仲間たちと「ピンパーネル団」を結成し、密かに貴族たちの亡命の手助けをしていた。パーシーはフランスの元女優であるマルグリットと結婚するが、彼女に秘密でピンパーネル団の活動を行うパーシーとマルグリットの間には深い溝が出来ていく。
一方マルグリットの元恋人であり、ロベスピエールの部下の公安委員ショーヴランは、ピンパーネルの正体を暴くべく暗躍していた
ある日、マルグリットの弟のアルマンは、ピンパーネル団の一員として活動していたショーヴランに摘発され囚われの身となる。マルグリットはアルマンを助けるべく単身パリに渡り、そこで「スカーレット・ピンパーネル」の正体を知る。"


梅田芸術劇場製作 「スカーレット・ピンパーネル」

ピンパーネル団に相葉裕樹さん、太田基裕さん、植原卓也さん、廣瀬智紀さんといった若手俳優を配し話題になりました。梅芸スカピンはかなりコメディ寄りで、石丸幹二さん演じるパーシーが親父ギャグ*1をやたら飛ばしていました。ピンパーネル団のメンバーは(イギリス貴族であることがバレないように)色々な変装をするのですが、釣り人、物乞い、警官といった変装の中で廣瀬智紀さんが1人だけ女装をして花売り娘を演じていたのが印象的でした。 「私とお花、どっちが綺麗〜〜〜???」と叫びながら公安委員をしばくちゃんともさんの姿はしばらく忘れられませんでした。ちゃんともさんの方が綺麗でした。
ピンパーネル団は個々のキャラクター性は濃くないのですが、本役以外にも色々なところで顔を出しているので彼らを探すのも楽しみのひとつでした。

ピンパーネルの正体についてあちこちで噂される中行われた舞踏会に参加するにあたり、パーシーたちはピンパーネルであることが見破られぬよう、ド派手な衣装を着て斜め上のおしゃれをしてバカを装う「男の務め」という場面があるのですが「原色のフリフリのガウンに羽をつける」という派手でありつつもまともというか躊躇いが見られる衣装で少し残念でした。遠目からでも見分けがつくので色分けされるるのはとてもわかりやすくて良いです。

マルグリットの弟アルマンを演じていたのは矢崎広さんで、これがとっても可愛かったです。どんなに拷問されてもピンパーネルの正体について口を割らなかったにもかかわらず、共に捕まったマルグリットに対し「パーシーは絶対に助けてくれる!」と口を滑らせるうっかりっぷりが弟力高すぎて最高でした。かわいい……

好きなシーンは、パーシーが作戦の危険さに心が折れかけ、ピンパーネル団をフランスに帰そうとした時、メンバーが「炎の中へ」をアカペラでパーシーに語りかけるように歌う場面です。ピンパーネル団のメンバーはただパーシーに従っていたのではなく、彼らがパーシーの対等な仲間であることを確認するというか。ちょっと男子校っぽいなと思います。

梅芸版は全体的に痛快な冒険活劇!といった印象が強かったです。元になったBW版に近いのはこっちだとか。再演ではパーシー、マルグリット、ショーヴラン以外のキャストがガラッと入れ替わり、ピンパーネル団には久保田秀敏さんや多和田秀弥さん、東啓介さん、藤田玲さんが加わりました。演出陣も少し変わったので、再演ではブラッシュアップされるのかな?と期待しています。個人的には藤田玲さんの貴族の姿を見るのがめっちゃ楽しみです。




宝塚歌劇団星組「スカーレット・ピンパーネル」

梅芸版がコメディ寄りなら、宝塚版はエモの奔流といった感じでした。
元となったブロードウェイ版に小池修一郎氏によるかなり大胆なアレンジが加えられたそうです。その中でも最も大きいのはBW版と梅芸版にはない「王太子救出」のエピソードでしょうか。

国王ルイ16世、王妃マリー・アントワネットが処刑されたのち、幼い王太子ルイ・シャルルは病弱でありながらも幽閉され、虐待に近い扱いを受けていた。パーシーはルイ・シャルルの元を密かに訪れ救出を約束し、「勇気の歌」として「ひとかけらの勇気」を教える。やがて救出された王太子を匿う家をそうとは知らずマルグリットが訪れ、パーシーの理解不能な行動を嘆く。それを聞いた王太子は「僕の母は最期まで父を信じていた だからあなたもパーシーのことを信じて」とマルグリットに抗議し、マルグリットはパーシーがスカーレット・ピンパーネルであることを悟る。のちに公安委員に捕らえられたマルグリットはスカーレット・ピンパーネルをおびき寄せる囮として劇場に立たされ、革命を賛美するように命じられるが、彼女は反抗し王太子に教えられた「ひとかけらの勇気」を歌う。その場に忍び込んでいたパーシーからは妻への疑いが氷解するのだった。

まずエモいのは「ひとかけらの勇気」の使い方です。*2 梅芸版ではパーシーの決意の表現として歌われるのに対し、宝塚では曲そのものが意味を持っています。マルグリットがこれを歌う時にパーシーは(なぜかロベスピエール様の信頼篤い)謎の外国人グラパンに扮しているのですが、マルグリットの歌を聞くときはそれまでのおちゃらけた雰囲気は何処へやら、本気でびっくりしているんですよね。

それから「マルグリットがピンパーネルの正体を、彼に助けられた王太子により知る」という展開もかなりドラマチックです。弟がうっかりバラしてしまう梅芸版との温度差がすごい。でもアルマンの存在感は梅芸の方が大きいかもしれません。可愛いし。

印象的だったのはロベスピエール役の七海ひろきさんです。己の揺らぐ権力に対し「まだ革命は完遂されていないのに」と焦りを見せるソロは、史実でのロベスピエールの状況(間も無く処刑される)と重ね合わせると聞いていてとても苦しかったです。あととにかく美しくてかっこよくて最高でした。*3


これまでスカピンはただ楽しいコメディだと思っていたのですが、(宝塚版は)初めて生で観劇したからかあるいは歳のせいか、やたら涙が溢れてしまい困りました。結婚した途端よそよそしくなった夫に戸惑い、必死にかつてのパーシーを取り戻そうとするマルグリットに感情移入してしまったり。ラストにパーシーに出し抜かれるショーヴランも(そしてロベスピエールも)遠くないうちに処刑されてしまうことが悲しく思えました。おそらくロベスピエールたちは革命が完遂されれば「自由、平等、博愛」の精神が具現化すると信じていたわけじゃないですか。その高潔な理想が粛清の嵐を呼び起こしたという事実が悲しいです。
これまでロベスピエールは峻厳な独裁者であるが、パーシー扮するグラパンにすっかり騙され彼も周囲も振り回される、というユーモラスな役だったのですが、16年の梅芸版から"NEW AGE OF MAN"というソロが追加され、ロベスピエールという人物が抱く悲壮な決意とジレンマが描かれるようになりました。パーシーたちの大義だけでなく、革命側の理想とその変質という視点が加わったことでより作品の余韻が増したのではないかと思います。*4




こうやって比べてみると同じミュージカルのはずなのに随分印象が異なるなあ、と実感します。素材がいっしょなだけにカンパニーの個性というか、表現したいことの違いが如実に伺えて面白いなあと思いました。梅芸は冒険小説っぽくて宝塚はロマンティックなんですよね。

それにしても、2016年10月にスカピンやって、17年の3〜5月にもスカピンやって、さらに11月にもスカピンやって…ってどんだけスカピン好きなんだよ、わかるけど…と思いました。*5


秋の梅芸版の再演も楽しみです。

*1:結構滑っている

*2:これは宝塚で上演されるにあたり書き下ろされた曲だからある意味オーダーメイドみたいなもんだけど…

*3:ご本人は面白くて明るい二次元オタクだって本当に本当ですか?ますます好きになってしまうかもしれない

*4:スカピンのロベスピエールを「影」とするなら、同じ小池修一郎による「1789」で描かれるのは「光」の部分でその対比がエモくて最高

*5:去年の夏には東宝と宝塚が東西でエリザベートやってたけど……

嬉しいこと

古川雄大くんの帝劇初主演ミュージカル「モーツァルト!」の上演が発表されました。

正直晴天の霹靂というか、本当に突然爆弾が降ってきたような気分です。びっくりしました。
めちゃめちゃ嬉しいです。やたらにニコニコしてしまいます。一日経った今でも嘘じゃないかとすら思います。始まるまで信じられないかもしれません。



初日、客電が落ちた客席でじっ…と息を潜めて舞台を見つめる瞬間、どんな気持ちで迎えるんだろう…と想像するだけでワクワクします。

3月のツアーで「事務所をやめて、みなさんにご心配をかけたかもしれませんが、これからの古川雄大は(珍しく)光100%です!」と言っていた訳がちょっとわかりました。
その時にヴォルフのソロの「僕こそ音楽」を歌ったのはある意味予告というか、匂わせだったんですね。 ライブの帰り道、いつかヴォルフガング演ってくれたら嬉しいな〜まあまだ先だろうな〜〜おたくはすぐ願望おしつけてしまうなあ……なんて思ったのですが、その「いつか」がこんなに早く訪れるとは思いませんでした。まさに夢みたいです。

ヴォルフの持つ偉大な才能(幼い頃の姿、アマデとして具象されますね)ゆえの「闇」の表現は古川くんが得意とするところですが、傍若無人で、はっちゃけたヴォルフの陽性な部分はどういう風な演技を見せてくれるかな〜と思っています。



同時に情報が解禁された、再演1789ではロベスピエール役が古川くんから三浦涼介さんになるんですね。正直ロベスピエールは続投だろう〜とタカを括っていたので、わりとうっちゃられたというかなんというか。まさか1789に出ないとは露ほども思ってなかったのでびっくりしました。いろんな人に「1789古川くん出るから〜」と言った覚えがあります。みんなテキトーなこと言ってごめん。


でも三浦涼介さん、ロベスピエール役がめっちゃ似合いそうじゃないですか?
帝劇のモーツァルトと1789の地方公演は確実に時期が被るので忙しくなりそうですが、両方追っかけたいです。


今回色々な人に「おめでとう!」を言われました。(私のことじゃないんだけどな…)と思いながらもありがとう!と返しています。祝杯あげようかと思ったんですが、それは初日のお楽しみに取っとこうと思います。


まだ1年もあるのかあ、とたったの1年かあ、が共存しています。あと1年間も「楽しみ」を抱えていられるのが嬉しいです。

推しの事務所

推しが事務所をやめた。

そのニュースは公式発表がなされる前日の夜、FC会員にメルマガで唐突に届いた。
私は出先でそのメールを読んだのだが、とりあえず適当なバーで「なんか優しい気持ちになれる酒」を頼むくらいに動揺した。ニエベ・メヒカーナというカフェオレみたいな優しい味のカクテルが出てきた。飲んだらちょっと落ち着いた。

半年くらいスケジュールに空きがあるので何の舞台が入るんだろう?とずっと思ってたらまさかの展開だった!いやーびっくり!!あまりにも急だったので!
これからフリーでやってくのかな…とか、入るとしたらどこの事務所かな…とか、お仕事の傾向変わっちゃうのかな…とか思うことは色々あるけれど、推しが選択したことなので何も言えないです。私が心配してもどうなることでもないですし。*1


とりあえず週末から始まるライブが楽しみです。ちょっと説明あるかな。

*1:でもおたくなので不安に思ってしまう

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」

感想
東宝のロミジュリみてきました。13年の方を見てなかったので初のロミジュリです。
2013年(再演)のパンフレットで演出家の小池修一郎氏は、
「物語の普遍性を強調するため、時代を現代に移そうとした。本当はSF的近未来を想定し、第三次世界大戦でいびつになった世界を描きたかったが、大震災が起こり破壊や崩壊のイメージが描きにくかった」と語っています。
今度の新演出ではそのボツになったアイデアが使われたようです。


よくスマホ演出(笑)と揶揄される小池修一郎演出のロミジュリですが、そこまで現代風のアレンジには違和感はなかったです。
アナログなロレンス神父がガラケーユーザーだったり、両親が厳しいジュリエットが18歳になるまで携帯を持たせてもらえなかったりと、ガジェットにより役の設定が浮かび上がるような良い使われ方をしていると思いました。


考えたこと*1
・ベンヴォーリオと乳母
ロミオとジュリエット、ティボルトとマーキューシオがシンメだとしたら、ベンヴォーリオと対になるのは乳母だと思います。

乳母やベンヴォーリオはジュリエット、ロミオの親友であり理解者であると同時に、作中で乳母はジュリエットにロミオとの結婚の知らせを、ベンヴォーリオはロミオにジュリエットの死を知らせるというメッセンジャーの役割を負っています。また、乳母はパリスとの結婚について態度を翻すことでジュリエットを(ある意味)殺してしまうし、ベンヴォーリオはジュリエットの死を伝えることでロミオを死に追いやってしまう。その後悔と罪悪感が霊廟のシーンでは2人に滲んでいるように思いました。

乳母とベンヴォーリオは引き離されたロミオとジュリエットの手を繋ぎ直し、両家の和解を促すのが印象的。また、最後の「エメ」大合唱で葬いの蝋燭を悲しみにくれるキャピュレット夫妻にベンヴォーリオが手渡すという演出が本当に大好き。きっとベンヴォーリオは親友たちが世を去ったヴェローナで1人生きていくんだろうと思うと、つい好きになってしまいそうになります。


・ティボルトとマーキューシオ
「仮面舞踏会」のシーンで、マーキューシオは顔を隠しているのをいいことにティボルトにちょっかいを出しまくります。この時ティボルトはジュリエットの順調に進展する結婚話にやきもきして死ぬほど余裕がないので、絡まれる度にブチきれていて面白いです。でも、どうしてマキュはここまでしてティボルトを憎むんだろう?マキュは大公の甥であっても、モンタギューの生まれではないので別にキャピュレットを憎む理由はないんですよね。でも明らかにマキュはロミオやベンヴォーリオよりも過剰にキャピュレットを憎んでいる。わたしはその理由はマキュのティボルトへの私怨と、外野であるマキュがモンタギューに馴染むために派手に反キャピュレットの態度を取っているのかな…と思いました。マキュ、身体小さいから子供の頃ティボルトとかにいじめられてたりしたのかな…してないかな……(自信がない) ただ、当のティボルトはロミオに対する憎しみで頭がいっぱいで、マキュには叔母上との関係を揶揄されるまで興味なさげなのがなんとも………


キリスト教的要素
我々が信心深くないように、現代に生きるロミジュリの登場人物だって信心深くなくたっていいと思う。別に現代版にするならば、キリスト教の要素を取り除いても構わないだろうに(むしろその方が現代風だ) どうしてこんなにもキリスト教のモチーフが物語に出て来るんだろうと不思議でした。 *2

最後の「エメ」大合唱で、「死」は十字架の上で悶え苦しむ。「死」が犠牲になったように、あるいは人々の罪を背負うために遣わされたキリストの様に、ロミオとジュリエットヴェローナの平和のために犠牲になるべく神に遣わされたのではないか。
ロミオとジュリエットが出会って爆速で恋に落ちるのも、神の意志あってのものと思うと納得がいく*3

「平和の祈り」という祈祷文がある。
「主よ、私をあなたの平和の道具としてお使いください。
憎しみのあるところに愛を、
諍いのあるところに許しを、
(中略)
絶望のあるところに希望をもたらすことができますように」

ある意味、ロミオとジュリエットはこの「平和の道具」なのではないかと思います。
2人の亡骸を見つけた神父は「2人が結ばれてヴェローナに平和が訪れるはずだった、なのに何故神は見捨てられたのか?」と嘆きます。しかし、神は決して2人を見捨てたのではなく、そうあるべくして悲劇的な結末にたどり着いたのではないかと思いました。*4
あまりにもキリスト教に寄った解釈かもしれません、原作がまさに宗教が支配していた中世に書かれた作品だから許してほしい…何より、こう解釈することでしかロミジュリの爆速すぎる恋愛の進展を理解できなかった……



今回、ダブルキャストの組み合わせを変えて何度か観劇したのですが、それぞれのキャストで役解釈がかなり違い、それによって物語の印象が大きく変わりました。やっとダブルキャストの醍醐味を味わうことができました。何度見ても楽しかった。再々々々演を楽しみにしています。その時はどんな若手が配役されるんだろう。

好きな役者が素晴らしい楽曲と演出家の元、最高の演技を見せてくれる、こんなに幸せなこともおたく人生の中ではないですね。おたくでよかった。

*1:全て私の解釈です、あしからず

*2:原作がそうだからでは?

*3:気がする

*4:アルターボーイズを観劇したせいかやけにキリスト教付いてます

ミュージカル黒執事 NOAH's ARK CIRCUS

めっちゃネタバレしてます。

とりあえずこれをみて欲しい

作品について

今回は演出が素晴らしかった。まず、セットがとても良くできていた。*1両サイドに階段とバルコニーがあり、センターは円形の舞台の上に回転する2階建ての半円形の装置という構造(説明するのが難しい)で、それぞれ2階部分は一本の廊下としても使える…という構成になっていた。このセンターの装置の使い方がとても上手で、特にラストのシエルたちが見るとある物がスッと現れる演出は鳥肌が立った。セットは人を見せるだけでなく、何かを隠すためにも使えるんだと初めて気づいた。
今回セットが2階建てだったので、一般に見づらいとされる3バルでも十分楽しめると思った。
舞台袖部分にもサーカス団の雑多な道具が積んであるのも雰囲気があった。


それからこの作品を語るのに欠かせないサーカス部分が良くできていた。三津谷くんが一輪車の腕前を披露することはニュースになっていたが、それ以外にも空中ブランコや綱渡り、アクロバットエアリアルととにかく色々なパフォーマンスのサラダボウルだった。ここは映像で誤魔化すんだろうな、と予想していた空中ブランコも実際に演じられていたのは凄かった。むしろ、火吹きや玉乗りが見られなかったのが残念になる。(無茶)

サーカス開幕のシーンは、サーカス団の面々がダンスを踊り空中でピーターとウェンディがぐるぐる回り…ととにかく華やかだった。鮮やかな照明、キラキラした衣装で踊るキャストたち!とまさにサーカスの楽しさがあった。ショーが華やかなほど、彼らの影の部分がよく際立ちます。
あと好きなのはロンドンで起きた誘拐事件について刑事2人が話すシーン。ロンドンの地図についた赤いバツ印が増えていく…という映像が音楽も相まって恐ろしくて好きです。


演出に対して、楽曲は前作「地に燃えるリコリス」の方が良かったと思う。メロディが難しくてあまり頭に残らないというか、ここで音上がるんだろうな、というところで音が下がる感じであまり聞いていて気持ちよくない感じがした。リコリスでは「降り止まぬ雨」「道に迷わないように」「私はあなたの剣となり盾となる」のような歌い上げる曲が何曲かあって印象的だったのだけれど、今回はそういう曲はなかった。一幕終わりの「全ては明日に」(曲名わかんないですが)は不協和音でスッキリしないのと、パートを分割しすぎていて微妙だった。
先生のパートなんて「裏口へ〜」だけなのはなんとかならなかったのかと思う。

歌詞がよく聞こえない箇所があることもイマイチだった。何度か見に行ったがわからないところは本当にわからない。スネークのソロはいい感じの押韻がきいた英語詞が入ってたんだけれど、あんまり何言ってるのかわからなくて残念。ミュージカルで歌詞がわからないのは致命的ではないかと思う。DVDが届いたら、ブックレットを眺めながらじっくり見直したい。



今回の話は原作でも屈指の救いのないエピソードで、登場人物の誰もが報われなくて観劇後、いつも重苦しい気持ちになった。特にジョーカーに関してはは、孤児院の弟たちを守るために、弟と同じような子供を後ろめたく思いながらも攫っていたのに、サーカス団は壊滅して全てを失い、更に…という2段落ちの展開は苦しいです。「なんてな、今さらごめんな」という最後の呟きには心を打たれた。

また、サーカス団の面々には孤児院の子供達、使用人たちにはシエルに仕える平穏な毎日、アグニにはソーマ、ソーマにはシエルという守るものがあるけれど、じゃあシエルの守るものとは何だろう…?*2と思うとシエルの抱える虚無を感じて、うら寂しい気持ちになりました。


キャストについて
古川雄大 /セバスチャン・ミカエリス
ビーストに誘いをかけるときの表情が凄く好みだった。悪魔というか、爬虫類の類の冷たさがあった。それからダンスがとても綺麗。

内川蓮生 /シエル・ファントムハイヴ
凄くかわいい。シエルの冷徹になりきれない甘さや優しさといった人間らしさといった演技が上手だと思った。恐ろしい12歳です。

輝馬 /ウィリアム・スピアーズ
音圧の高い歌声とかしゃべりがすごく好きです。ウィリアムは今回真面目なのに面白いというか、あのスーツとかパジャマとか最高じゃなかったですか?パジャマから覗く足首がとても良いです。セバスチャンとのデュエットが強そう、空中ブランコでブンブン飛んでても歌声がブレないのが流石でした。というか輝馬くんと古川雄大さんの空中ブランコが見られるの、レアでは??
輝馬くんはツイッターがとりわけ最高なので是非見てほしい。盛る気を感じない自撮りとか、小学生男子っぽいところとか。*3

ダガー/ 三津谷亮
一輪車のチャンピオンだという噂は聞いていたけれど、そのパフォーマンスを目にすることができてよかった。呼吸するように乗りこなしているので気づかないかもしれないのですが、めちゃめちゃ上手いですね……普通にダンスするときよりも一輪車にのって踊る方が腰の入れ方とかの動きが滑らかです。地上で踊るときは振りにちょっとタメが入るのも好き。
裏の顔を見せる時の冷たさも良かった。「俺がやっちゃいましょうか」のあたりとか。

ドール/ 設楽銀河
めっちゃ可愛かった。もともと予定されていた子役が凄く歌が上手い子だったので、急遽キャストの変更となって、どうなるかな、と思っていたけれど歌が上手いとかどうこうじゃなくてお芝居が上手で良かった。ドールがドールという名前をもらうシーンは作中でも一番心に響きました。

ジョーカー/ 三浦涼介
ジョーカーはサーカス団としてステージに立つとき、団員を相手にする時、それからシエルたちと対峙する時の歌声の芝居が印象的だった。ラストのソロは聞いていて涙がぼろぼろ出るような慟哭でした。ウィルの読み上げていた書類によると、ジョーカーは本名をもたない娼婦の息子なんですね。「リコリス」では娼婦たちの堕胎が事件のきっかけになるのですが、堕ろされずに生まてこれた子供達の末路がサーカス団の面々であり、あるいは犠牲になった孤児院の子供たちだということは悲しいです。「俺たちは親に捨てられ、国に捨てられていた」んですね。
そんな彼らのことを歌った「人はどんどん贅沢になり ドブに比べりゃ天国なのに、もっともっと求める…」と後悔が滲み出るような歌詞がありましたが、彼らが求めた平穏な暮らしがどれほどの贅沢だったのだろうと思います。やるせないです。


サーカス編、まだ福岡兵庫愛知での公演が残り、大楽はライビュもあるので気になった方は是非。劇場でみた方が楽しめる作品かと思います。

*1:金かかってるな〜と思う

*2:原作では許嫁がいるけど

*3:褒めてます